今そこにある過激派

※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、を参照、また、（本放送）とはNETでの放送、（再放送）とは東映ｃｈでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、で検索。

また（出演者）は、エンディングで、一列～三列で表示された男優・女優に限定しました。

【#533  爆弾時代】

（本放送）1972年1月19日

（再放送）2016年1月14日

（脚本）松本昭典

（監督）龍伸之介

（協力）無し

（協賛）無し

（捜査担当）三船班

田中係長（山田禅二）、鑑察医（仲原新二）、鑑識課員（田川恒夫）、鑑識課員（西郷昭二）、

関根部長刑事（伊沢一郎）、石原刑事（吉田豊明）、白石刑事（白石鈴雄）、

水木刑事（水木襄）、畑野刑事（宗方勝巳）、三船主任（青木義朗）

（出演者）

白石奈緒美、田中淑隆、加藤真知子、丹羽たかね、水沢摩耶、片山滉、中庸介、守屋俊志、

鮎川浩、城所英夫

（あらすじ・予告篇から） ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています

ある鉄工所が、何者かに仕掛けられた時限爆弾によって爆破され、捜査の進展とともに、1人の白マスクの女が捜査線上に浮かびあがる。

さらに、犯人が狙った目的とはまったく関係のない場所で、爆発したことが判明する。

海外へ逃亡しようと狙われた整形外科医と事件の関係は何か！？

追いつめられた白マスクの女の死体が意味するものは！？

犯罪の背後に隠された謎は！？

事件には何らかかわりもないのに、めちゃくちゃに破壊されてしまった家庭・・・。

現代の、刹那（ｾﾂﾅ）的凶悪犯罪に、鋭くメスを入れる、

次回、「爆弾時代」に御期待ください。

（備考）

・当作では、劇中での特捜隊メンバー（男優名）の表記無し。

・次回予告篇のナレーションは青木義朗、以後しばらく続きます。

（視聴録）

革命を標榜する過激派が交番を爆破、犯人を現行犯逮捕した警官（中庸介）の耳にまたもや爆発音が聞こえてきた。近くの、津村鉄骨工業が2度にわたり爆発火災を起こしたのである。最初の爆発では工員・岡崎（平野康）が、次の爆発では警官・野口（飛世賛治）が怪我を負い、広田外科に入院した。三船班は、院長・広田（片山滉）の所見、爆破破片から時限爆弾による爆発火災と断定。社長・津村（鮎川浩）、回復した岡崎への聞きこみから、岡崎にビール1ダースを渡した小野寺整形外科の院長・小野寺一政（城所英夫）、の自宅に急行する。

そこでは夫人（丹羽たかね）、手伝い・あき（宗田千恵子）からの証言で、和田酒店から届いたものを熨斗紙（ﾉｼｶﾞﾐ）を剥がして渡したものとわかり、さらに和田商店の店主（未詳）からは、来店した女性から「中村」の熨斗紙をつけたビール1ダースを渡され、小野寺家に届けたということだった。真の狙いは小野寺ではないかと睨んだ三船班は、小野寺の病院に乗りこむが、受付（李瑛子）や女秘書（白石奈緒美）の態度は、なぜかよそよそしかった。

三船班は、協力的でない小野寺周辺の人々の姿に失望するが、青木土木の関係者（守屋俊志）からダイナマイト10本・雷管2本が盗まれたと情報が入った・・・。

監督さんの傾向から、序盤の爆破事件に関連した過激派組織を描くものになると思いきや、市井で働く人にスポットライトをあてた作品。しかし、傾向映画のノリもあるのか、ブルジョワジーの横暴というか驕慢さにも追及しているので、結局は監督の世界観が出ていますね。

まあ、確かに警察というか、人々の常識すらも蔑ろにしている描写は、視聴する側からしてもカチンと感じましたので、その点上手く演出できたのではと思います。

しかし、人を描くという点では、姉・今西三恵（加藤真知子）と弟・文雄（田中淑隆）との姉弟間の思いやる姿は希薄でありました。また、現場に現われた「白いマスクの女」の心境が描かれていません。こういう点では、少し残念なところであり、動機だけで心境が描かれていないと、どんな理由があろうと自分勝手な行動に見えてしまい、結局、否定したブルジョワジーと対して変わりはない、と思われがちになります。つまり、犯人をかばうというのではなく、犯行に至る過程を心の動きとともに描いていればなあと感じた次第です。

全体的には流れのあるドラマで、政治的主張も目立たず、娯楽的刑事ドラマとして見られるのですが、佳作にチョイ届かずの作品というところです。ラスト10分ですべてをまとめようとするところも、少し強引すぎるかな。ただ、ロケ作品だったら、上手く分散させて仕上げたのではと感じました。

あと、出演者の田中淑隆ですが、ネットで調べてもなかなかヒットしません。あるブログだと、仮面ライダー第１６話　「悪魔のレスラー　ピラザウルス」に出演とありますが、顔写真が違うのと情報もさほどありません。特捜隊の常連ゲストといってもよいのですが、何かしらの情報も無く、ツイッターでも見当たりません。あのまま育っていれば、刑事ドラマの常連悪役に成長して、特捜最前線の常連悪役、大谷朗クラスになっていたのでは？とも考えます。

（2017年12月2日　全面追加）